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030:みなさまの「湯気」

2009.01.17 20:27  鑑賞

湯気の波線を頭上に描いてやる怒った顔がわかりにくいから (やましろひでゆき)

☆わかりやすくしてくれて、ありがとう。

あたたかい湯気のむこうの泣き顔が笑顔みたいな最後のシチュー (ちりピ)

☆シチューってなんか、絵になる食べ物だよなぁ。

ラーメンの湯気でメガネがまっ白にくもってやっと涙あふれた (はらっぱちひろ)

☆哀しいね……。

ここでなら泣いてもいいよ しばらくは湯気のむこうで歌ってるから (しろうずいずみ)

☆らららー♪

あたまんなかぐちゃぐちゃで もう残酷 で きっと湯気とか出てると思う (ゆきすずめ)

☆大声で泣くしかない。

帰るのが遅すぎたから夕食の湯気と一緒におまえも消えた (天野 寧)

☆えっ?!

あたたかいものはたいてい冷めていく湯気たつものはみんなきらいだ (みち。)

☆そんなー。


ステキな歌をありがとうございました!



おまけ「湯気」の詩↓

花嫁

私がいつもゆく公衆浴場は、湯の出るカランが十六しかない。
そのうちの一つくらいはよくこわれているような、小ぶりで貧弱なお風呂だ。
その晩もおそく、流し場の下手で中腰になってからだを洗っていると、
見かけたことのない女性がそっと身を寄せてきて「すみませんけど。」という。
手をとめてそちらを向くと「これで私の衿を剃ってください。」と、持っていた軽便カミソリを祈るように差し出した。
剃ってあげたいが、カミソリという物を使ったことがないと断ると
「いいんです、ただスッとやってくれれば。」「大丈夫かしら。」「ええ、簡単でいいんです。」と言う。
ためらっている私にカミソリを握らせたのは次のひとことだった。
「明日私はオヨメに行くんです。」
私は二度びっくりしてしまった。
知らない人に衿を剃ってくれ、と頼むのが唐突なら、そんな大事を人に言うことにも驚かされた。
でも少しも図々しさを感じさせないしおらしさが細身のからだに精一杯あふれていた。
私は笑って彼女の背にまわると、左手で髪の毛をよけ、慣れない手つきでその衿足にカミソリの刃を当てた。
明日嫁入るという日、美容院へも行かずに済ます、ゆたかでない人間の喜びのゆたかさが湯気の中で、むこう向きにうなじをたれている、と思った。
剃られながら、私より年若い彼女は、自分が病気をしたこと、三十歳をすぎて、親類の娘たちより婚期が遅れてしまったこと、
今度縁あって神奈川の農家へ行く、というようなことを話してくれた。
私は想像した、彼女は東京で一人住まいなんだナ、つい昨日くらいまで働いていたのかもしれない。
そしてお嫁にゆく、そのうれしさと不安のようなものを今夜分けあう相手がいないのだ、それで――。
私はお礼を言いたいような気持ちでお祝いをのべ、名も聞かずハダカで別れた。
あれから幾月たっただろう。
初々しい花嫁さんの衿足を、私の指がときどき思いだす。
彼女いま、しあわせかしらん?

(石垣りん)



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「ゆたかでない人間の喜びのゆたかさ」……・。

高校のときに、戦争中の人はかわいそう、というようなことを私が言ったら、
「そんなこといちがいにいえない、物質的な豊かさと精神の豊かさは別だ」
と友達が言ったことがあった。
きっとその通り、だけど私たちは戦争を体験していないからそんなことが言えるのだとも思う。
食べるものにも困ってる暮らしに余裕のない状況で、どれだけ心の余裕が保てるか?
私なら自信がない。
だから、このエッセイに出てくる花嫁さんみたいな、(別に戦時中ではないにしろ)
物質的にゆたかではなくても、きちんと幸せに生きている人の話を聞くと、
なんだかほっとするなぁと思う。


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