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第1話

2009.08.10 19:52  ショートストーリー

しなもんの短歌ストーリー第1話<ストライプ>



横断歩道を見ると、目がくらむ感じがする。
マックの前のスクランブル交差点はとくにひどい。あたしはそこを通るたび、いつもくらくらとなってしまう。

とくに目がくらむ日は、美術室に行くことにしている。
絵の具の匂いが好きなんだ。
それに美術室には、せんせいがいる。

せんせいは、別にかっこいいわけじゃない。
30歳くらいなのかな。
はっきりいっておじさんだ。でもなんだか気になる存在。

せんせいは、理系の教師でもないのに、いつも白衣をはおっている。
よれよれの、絵の具で汚れた、パレットみたいな白衣。
せんせいはどんな絵を描くのだろう。ずいぶん前に、絵をやめたと聞いた。
あたしはせんせいの絵を見たことがない。

「もう少しで完成ですね」
描きかけの絵をイーゼルにセットすると、せんせいが声をかけてきた。
「もう少しで完成です」
並んで一緒にへたくそな絵を眺めた。

それは、シマウマがただ一頭、ぽつんと交差点に立っている絵だった。
このシマウマは、地球最後のシマウマなのだ。
未来には、もうサバンナなんてなくなってるだろうから。
仲間を失ったシマウマは、ひとり途方にくれているんだ。
あのマックの前の白黒の交差点で。

「シマウマが」とあたしは言った。
「シマウマが、どうしてシマシマなのか、せんせい知ってる?」
せんせいは、なぜか笑って、腕を組み、ウーンとうなった。

あたしは知っているよ。
あたしはせんせいに教えてあげた。

「シマウマは、自分の身を守るため、あのシマがあるんだよ。
シマウマが群れになるとね、シマの模様がえんえんと続いていって、ただのストライプのかたまりにしか見えなくなるの。
そうやって、集団で行動することで、ウマの形を消してしまうんだ」

あたしたちが制服を着るのも、実際そういうわけなんでしょう?
そう言うとせんせいは目を細めた。
生徒はみんな、ひとかたまりに見えるんでしょう?

「あたしが、どうしてあたしなのか、せんせい知ってる?」
「え」と言ったせんせいの、「え」のかたちのくちびるを奪ったら、絵の具のにおいがカラダに満ちた。

せんせいの絵が、見たいなあ。
急に、つよくそう思った。
くちびるを離したら、キャンバスのシマウマと目があってしまった。



右を見て左を見たら右を見ていつになったら渡れるだろう(遠藤しなもん)

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この記事へのコメント

先生が羨ましいです笑

くまさん | URL | 2009.08.10 20:50

羨ましいんだ?(笑)
それにしても、他に誰もいないんですかね……
じぶんで書いといてなんなんですが(笑)。

しなもん | URL | 2009.08.10 22:23

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